本をどうやって紹介するかは実にさまざまです。本のタイトルで関連づける、思い入れの強い1冊を丁寧に紹介する、同じジャンルで揃える、おもしろかった本を思い出して紹介する、最近読んだ本を関連づけることなく紹介するなど個性が出ます。答えがないからこそおもしろくて深みが出るのかもしれません。その場でしか生まれない言葉があり、それを聞けることは本当に貴重だと毎回感じます。
★注目の一冊★
DAISETZ T. SUZUKI. ZEN AND JAPANESE CULTURE
(『禅と日本文化』鈴木大拙)
なごやか読書会初の洋書。仏教研究の権威である著者が海外の読者に向けて、禅についてはもちろん、それに深い関わりを持つ武士道や俳句、茶道といった日本文化を紹介する。
日本人でさえ理解に乏しくなっているこういった文化の起源やつながりを体系的に学べる本は、なかなかお目にかかれない。著者の丁寧な説明によって、目から鱗がバッサリ落ちた。
日本語版も出版されているが、本書のダイジェスト版であり省略されている部分もある。読み終えた者としては時間はかかるが、ぜひ英語版を読んでもらいたい。繰り返し書かれているところにこそ、著者が本当に伝えたいことがある。
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